2013丹後ウルトラ完走記7(おわり)

2013.12.13 Friday

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    制限時間1分を切った、時間いっぱいだれよりも楽しんだ?ゴールでした!
    すみません。もうお忘れでしょうがやっとこさ完結編です。年越すとこだった
    あと13キロ!もうここまで来たら何がなんでもゴールしてやるという強い気持
    と、何か一つでもアクシデントがあればタイムオーバーになってしまう不安とが
    入り交じった、今まで経験したことのないような、いうなればお互い決め手のな
    いままむかえた第10ラウンド、相手のポイントになりそうなクリティカルな一
    発をくらい、あと2ラウンドで何としても盛り返さないといけない追い込まれた
    タイのボクサーのような心境といえば分かりやすいだろうか。

    「13キロという距離はいつもの練習で走るなんでもない距離。今日はたまたま
    アップでその前に87キロを走っただけじゃあないか!なんてこそないさ・・・
    ・・」「僕は足を動かすだけのマシーンだ!マシーンは疲れない!マシーンは止
    まらない!燃料切れなら動かないぞ〜」っと自分でツッコミつつ、もうデタラメ
    でもいいから脳に言い聞かせ自分に暗示をかけ、セルフマインドコントロール
    状態にして、ただただ足を前に前に動すしかありません・・・・・

    しばらく放心状態で廃人のように進んでいるとあと90キロ地点の看板が見えた
    通過時間は12時間32分ということはあと88分以内に10キロを走らないと
    いけない。キロ9分では間に合わない・・・少しでも歩くと命取りだな・・・・
    この時ふと前を見ると一人の女性ランナーが目に入った、疲れていたので頭が下
    がり俯き加減だったのでわかったのだが、なんとベアフット(素足)ランナーで
    はないか!

    以前ブログで見て今大会に参加されているのは分かっていたので、声をかけよう
    かと思ったが多分もう何人も同じように声をかけらているよなと思い、心でエー
    ルを交わし、お先に行かせてもらった。

    それにしてもよく降る雨だ、この時間になると台風の接近で風も雨も今までも以
    上に強くなってきた・・・しかし追い風ではない・・・でも向かい風でもない。

    この12時間雨にうたれて続けても寒さは感じなかったが、辺りは日も沈み薄暗く
    肌寒くなってきたと同時に急に尿意をもようしてきた。

    長距離走ったことがある方はわかるかもしれませんが、いざ止まってだそうと
    思ってもなかなかすぐに出ない場合がある。この時6月の飛騨高山でも何度止まっ
    ても一滴もでないで尿意だけがずっと続いて往生した苦い記憶が脳裏をよぎった。

    でもなんだか出そうな気もするし、でなかったらタイムロスになるだけだし、い
    や出たにしてもタイムロスにはなるな・・・・雨足はバケツをひっくり返したよ
    うにますます勢いを増して降っている。おそらくこの雨はゴールまで止むことは
    ないだろう。そんな時ふと思ったのが走りながら出してはどうだ?そういやトッ
    プランナーは練習中でも運動強度を落とさないために走りながらするというし
    (びっくりするぐらいかけ離れたレベルの違う状況の話だが(笑))
    幸い雨も降っているし、雨がきれいに流してくれる。
    とにかく走りながら出すという選択を選びタイミングを見計らいいざ放水。
    あっ熱っ痛っ!!最初自分に何が起こったか分かりませんでした。しばらくし
    てわかったのですが、股ずれをしている傷口にしっしみとる〜〜〜〜〜!
    それにしてもあの熱さ!おしっこってこんなにエナジーがあるんだなあとを身を
    持って体験したのでした。
    まあ、でもこの背徳感が入り交じったような開放感は結構癖になるかも(笑)
    このあと数キロ先でももう一度開放感を味わいました。
    しかし結果一時間後にこの選択がゴールを左右する大きなポイントになったとい
    うことはこの時は思いもよらないのでした。

    トイレはもちろんラスト10キロはエイドにも一度も止まりませんでした。
    とにかくこの時は自分が考えつくことで限りなくゴールが可能になるような今でき
    る最大限のことを何でもしようと考えていました。ゆっくりでも止まらないという
    こともその中の一つのことでした。

    95キロ地点を通過。僕の周りにはまだ多くのランナーがいました。このランナ
    ーたちもゴール時間はギリギリになるんだろうなあと思うと親近感がより一層沸い
    てきました。お互いなんでこんなどしゃ降りの中長い長い距離を走っているんだろ
    うかなあ・・・・・みんなそれぞれの理由や思いがあるんだろうなあ・・・・僕も
    あの一本の電話がなかったら多分こんな世界に足を踏み入れることはなかったろう
    なあと5年前のことを回想しながら走っていました。


    丹後ウルトラの時期になるとレース前か後にケーキを食べにくる3人組がいた。
    その時僕はは地元ながら100キロマラソンの事はほとんど知らなくて、とにかく
    1キロも走れない自分にとっては、ネコが実際玉ねぎを食べたらどうなるのだろう
    か?と同じくらい全くもって見当のつかない世界の話に過ぎませんでした。

    次の年もその3人組がやって来て、「いや〜めちゃくちゃ暑くてしんどかった」
    と去年と同じことを口々に言っていた。そんなしんどいことなのに毎年やってく
    る3人組の思考回路はどうなっているのか頭の中を見てみたいと思ったことを今
    でも覚えている。その時何故か口を滑らせ「僕もやってみようかなあ」と思わず口
    に出してしまった・・・・その一週間後店に3人組のボス、レジェンド安藤から一
    本の電話がかかってきた。開口一番「練習はじめましたか」・・・・・・
    すべての始まりであり終わりであった・・・・・・・

    それでも5年たった今も僕はこうして走っている。走ることが楽しい?いやそん
    なに楽しいもんでもない。では何故走っている?けじめ、プライド、意地?
    もちろんそれもあるのだが、今となってはなぜ走っているのか正直よくわからない
    しかしこの5年間で一つだけわかっていることはある。

          「走るか走らないなら、走る人生のほうがいい」

    そんなあの日から今日までを振り返っていると、あと5キロでゴールがあるとは
    にわかに信じがたく、ぐっとくるものがあったがまだ感傷にひたっている間は一
    分たりともない。時計はあと40分を切っていた。

    このままのペースで行けばなんとかゴールはできそうか?今一度自分の体の隅々に
    問いかけてみる。するとピクピクっと脹ら脛の痙攣が起こりそうな連絡が・・・・
    無理もない、この30キロはほとんど止まらず歩き、走り続けてきた。
    何処もかしこも限界などとうに超えている。でもここで焦っても仕方がない、1秒
    前でもいいから確実に制限時間内にゴールすることが命題である。

    少しロスになっても止まって足のマッサージをしようとしゃがもうとした瞬間、
    亀裂のような感覚が足に走った。以前こうして両足をレース中に吊ったことを思い
    出し慌てて立ち上がった。おそらくあのまましゃがんでいたら痙攣を起こしていた
    だろう。

    マッサージは諦め、焦る気持ちを押さえてしばらく慎重に歩くことに。
    小石一つにつまずいたり、小さな段差の衝撃、ちょっとした何かの拍子で足が痙攣
    してしまうかもしれない恐怖・・・・あと3キロでもまだまだ予断を許さない。
    そういや20キロ地点でも同じようなことになっていたなあ・・・
    あれから10時間以上経っているのか・・・よくウルトラランナーの完走記で
    あと数キロで、もう終わってしまうのかと少しさみしい気持ちなったというのを
    よく目にするが、とてもそんな気持ちにはなれそうもない。

    自宅から2キロくらいのいつものランニングコースに入っても心の余裕は1ミリも
    ない。馴染みのラーメン屋を通り過ぎる。芳ばしい醤油のいい匂いがあたり一面に
    立ち込めている。このへんはシンプルな昔ながらの中華そばを出す店が多い。
    次にお世話になっている旅館が見えてきた客室の明かりは全て付いている。午後6
    時をまわり夕食時で中居さんは大忙しに違いない。

    コースは離湖沿いになり、少し進むととつみきのピアノ教室の同級生のお店に近づ
    いてきた。
    そこにはご家族の姿が!僕がやって来たの見つけ驚いたように声援をおくってくれ
    た。この時、腕時計を見るとあと残り時間15分を切っていた。

    あとここからどれくらいあったっけ・・・頭の中ではあと2キロの試算になって
    いる。実は最後のコースは一度も試走したことがなく、民家の立ち並ぶ路地を通り
    抜けるコースなのだが地元の僕でも普段使わない道なので、実際の距離感が乏し
    かったのもあって、まだまだ不安でいっぱいだった。
    あと15分を切っても帰って来ない僕を家族はどんな思いで待っているのだろう
    かと思うといたたまれない気持ちになり、もうそこまで来ていると安心させる手段
    はないものだろうかと真剣にこの時思いました。

    八丁浜の海沿いのコースに入るとすぐに6年間通った小学校が見えてきた、そこ
    には最後のエイドがある。そこにはここが何キロ地点かの表示が必ず書かれてい
    るのでその数字で僕の運命が決まると行っても過言ではない。

    辺りは真っ暗、少し先のぼんやりとみえていた明かりが段々と近づいてきた。
    最後のエイドステーションだ。白いプラカードが確認できるまでになってきた。
    ゆっくりと、でも止まらずにその数字を確認した。98.8キロ地点だった。
    次に時計を確認すると6時20分を刻んでいた。

    この時初めてゴールを確信した。

    雨が降っていたので涙が出ていたのかはよくわからないが、5年前のあの日からの
    長い長い日々がもう少しで終わるのかと思うと、他のランナーと同じような寂し気
    持ちを少しだけ感じれたような気がした。

    お帰りなさい、お帰りなさいと次々とランナーの名前を読み上げる会場のアナウ
    ンスが聞こえるようになってきた。僕の名前読み仮名うってたっけ?はたして
    ちゃんと読んでくれるのだろうか?

    とにかく一刻も早くゴールして家族を安心させなくては、あと数百メートル最後の
    信号を越えるとすぐに大きく僕の名前が正しくアナウンスされた。

    家族は聞いてくれただろうか?少し不安に思いながらも最後のコーナーを曲がる
    とゴールからこちらに走りよる小さな小さな人姿が・・・・・・・つみきだ!
    その後ろからりえさんも駆け寄ってきている!

    目を真っ赤にして既に号泣している。無理もない5年も待たせたから・・・・
    ゴールして家族に会ったら絶対泣くなあと思っていたけどそんな感極まっている
    りえさんを見ても不思議と涙はでなかった。

    ものすごい達成感と今まで感じたことないような感動が味わえると思っていたが
    実際はそうではなかった。多くの見ず知らずのランナー達の祝福をうけても、ど
    こか他人ごとのようにすら思え、実感はあまり無かった。
    多分、ゴールできるというイマジネーションが本当に微塵もなかったのだからだ
    と思う。そんな複雑な気持ちを抱えつつも最後は三人で一緒にゴール。

    正式なタイムは13時間59分21秒。制限時間39秒前のギリギリでした。

    残り1秒で最後のランナーがゴールに駆けこんできた。途中で出会ったあの
    ベアフットの女性ランナーだった。

    こうして長い長い一日が終わった・・・・・・・・



    これまで応援していただいた家族、友人、ウルトラマラソン関係者の方々を含め
    すべての方に感謝します。ありがとうございました。


    また来年の新たな挑戦が始まる・・・・・・・・のか?


    二年越しのサバカレーの味は忘れることがないでしょう・・・・・・



    コメント
    読んでいて、涙がでました。すごい体験記です。生々しく欠いてあるので、読んでいて頭のなかに情景が浮かびました。
    私は短距離は昔少し経験はありますが、マラソンはありません。でも、自分がその状況にいるような力強くもあり繊細な場面もあり、ホントに感動です。店長さんのマラソンのきっかけに、そんな話もあったのも知らず、私はてっきり、店長さんは自ら走られてるのだろう、と思ってました。
    写真、リエさん、つみちゃん、店長さん、3人の絆でやっとの思いが叶ったような、素晴らしい写真です。
    つみちゃんがうらやましい。もし、私の父親が店長さんのように限界にチャレンジして、達成した自分の父親を見れるという経験。なかなか、ないことだと思います。きっとつみちゃんにも、何事も頑張ってあきらめずにやったらできる!という事が今は理解できなくても、これから大きくなっていくうえでのエネルギーになることでしょう♪自慢のパパですね♪
    拍手もんです☆

    また、来年も頑張ってください(笑)

    • by ゆうやママ
    • 2013/12/14 2:34 PM
    ゆうやまま
    ありがとうございます!
    全く想像つかない世界の話だと思うので、少しでも情景や背景が伝わればと思ったらこんなに長いシリーズになってしまいました。
    家族みんなの悲願でしたので、どちらかというと本人より周りがほんとに喜んでくれたので、つくづく良かったなあと思います。
    つみきもあの日以来幼稚園ですごく走るようになったと先生が言っていた事も嬉しかったです。
    次の挑戦は遠いところになるので家族は来れませんがその分頑張ります!これからもまたお馬鹿な挑戦に応援よろしくお願いします!
    • by kanabun
    • 2013/12/16 4:29 PM
    お疲れ様でした
    来年は暑い熱い丹後で会いましょう(*´∀`*)
    次の挑戦・・・リベンジですか?
    私は丹後のあとは白山白川郷、四万十川を走りました。
    四万十川は肉離れになった足にテーピングして走り、途中で靴擦れで靴下と靴を真っ赤にしながらなんとかゴールしました。
    四万十も雨の中でしたがあの丹後の雨を経験するとどんな雨でもへっちゃらな気がしましたよ

    それでは、膝をしっかり治して頑張ってください。
    • by なみへい
    • 2013/12/18 2:56 PM
    なみへいさん

    ようやく書き終わりました(笑)

    やっぱり熱い丹後を完走して丹後を制したと言えますので
    来年は熱くなることを期待します!

    四万十川激走でしたね!お疲れさまでした!
    しかし肉離れで完走とは凄いですね。
    あと雨に関しては今後のレースは怖いもんなしですね。

    僕は来年はおんたけウルトラトレイル100キロに参加予定です。飛騨は予定がつかなくて多分無理っぽいです

    またふらっと丹後においでくださいまし。
    ではでは。



    • by kanabun
    • 2013/12/19 4:17 PM
    うーん !

    完走記 読ませて頂きました

    貫徹することは 何かが見守ってくれてるんだなぁ・・

    利枝さん 幸せですネ

    ぼくも 老体ながら 何かに賭けて人生を走ります

    ありがとう ♡
    • by あきにゃん
    • 2013/12/21 10:26 AM
    あきにゃん

    70過ぎても何かに賭けてみるって・・・・・素敵だわ!

    お互い燃え尽きましょう!

    あの〇〇のように・・・・・・・

    こちらこそありがとう

    • by kanabun
    • 2013/12/21 11:29 AM
    カナブンパパ、おしっこのくだり大笑いになりました。
    でもアアでもないコオでもない結果走りながらの行動
    しかし天はカナブンパパに味方した。
    台風になやまされながら走るも台風に助けられましたね。おしっこ出来て良かったですね。
    コメント読み終えていろいろな思い私の胸にストンと落ちました。
    代筆者@パティオ
    • by 奥パティオ
    • 2013/12/21 12:12 PM
    奥パティオさん

    もし完走出来てなかったらと思うとぞっとしますが。
    神もさすがに見かねてっと言ったところでしょうか(笑)

    おしっこは毎回困った問題です。来年の晴れた日の対策考えていたら、かぶり水と同時に出す作戦でいこうと思います。

    では、よいクリスマスを・・・・・・
    • by kanabun
    • 2013/12/21 3:00 PM
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